ようこそ恵子美術館へー若者たち(1)ー
(感想文と写真は無関係です) |
迷宮美術館
土屋 理(愛知県からの観光客)
四時間半。
いきなり何の数字かと思われるでしょうが、これは私が初めて恵子美術館を訪れた時に、そこで使った時間の事です。
小さな宮古島の小さな美術館。不思議で、生々しくて、少しこわい絵を描く垣花恵子さんの絵を中心に、色々な現代画家さんの絵を集めた小さな美術館。それが恵子美術館です。
何度も申した通りに、本当に小さな美術館ですので、一つ一つじっくり見て行っても四〇分もあれば十分でしょう。通常ならば。
それでは何故、私が四時間半などという時間をこの小さな美術館で過ごしてしまったのかと言えば、それはつまりここが通常ではないからです。
そう、ここは正に迷宮なのです。
唐突ですが、皆さんは「ドグラマグラ」と言う小説を御存知でしょうか?。昭和初期の作家、夢野久作の作り出した一大“迷宮”小説のことです。
筋らしい筋もなく、謎は解ける事なく深まり続け、読者はいつしか小説を読んでいるのかどうかすらも判らなくなって行くと言う、徹頭徹尾ひとを迷わせる様に作られた小説。
私が恵子美術館に入って最初に感じた印象が、正にそのドグラマグラの感じでした。
押し迫って来るでもなく、引き込むでもなく、そこにあってじっとりとした体温を放つ作品。こちらが“見ている”筈なのに、何故か後ろから“見られている”様な感覚をおぼえる作品。
どの作品も、どれ程じっと見ていても結論が出ると言うものではなく、何か心が残り、また作品の前に戻ってしまう。
恵子さんの作品には無限環(ループ)が多く出て来ますが、正にその通りに終わりのないものばかりで、それらがまたずらりと並んでいるのです。この美術館は。
一つのループを抜けてもまた次のループ、それを抜けてもまた次の、、、。
出口の見えない迷宮体験。宮古島に来る事があったなら、あなたも是非体験してみて下さい。ただし、時間はたっぷり用意して、、、、。
(★土屋君はバイクで沖縄本島、八重山諸島を巡り、数十分前に宮古島に着いたばかりの若者でした) |

近年は東欧諸国からの観光客も珍しくなくなりました。写真はウクライナからの観光客(「恵子美術館」本展示室)
(★写真と感想文は無関係です) |
「顔」の話
鈴木淳一(本土からの観光客)
「顔」の話を書こうと思う。
美術館に入り、素晴らしい絵をみた。
作者は顔の描き込みに時間をかけるという。
「顔」と「性器」は同様にエロチックだと思う。
人間の内側にある内臓が外えのエネルギーによって発達したものが「性器」であるならば、「顔」もまた人間の内側にある心が外界へのベクトルを指す為に現れたものが「顔」であるのだ。
「目は口ほどに、、、」とはよく言ったものだ。
体内には無い、異質な物質を取り入れる為に体内と直結している入り口が顔であるなら、体内から自らの分身を排出するのもまた、同様の顔である性器という事になる。
私は「顔」が好きだ。
とりわけ、何の表情も示さない「仮面」が。
部屋の壁中を仮面で埋めつくした中に、自分がいる所を想像する度に何ともいえぬ官能を呼び起こされるののだ。
この美術館に入り、そんな気持ちを呼び起こされた。
「顔」の話を書こうと思う。
垣花恵子の絵の話を書こうと思う。
絵の顔が皆、私を見ていた。
(20代半ばの若者で、これだけの文章力は凄いので、セミプロの書き手かなと思いましたが、本人は、ただの会社員ですと謙遜していました) |

初めて美術館に入ったという、マリンスポーツの若者達も熱心に絵を見てアンケートを書いて行くから嬉しい
(★写真と感想文は無関係です)
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(2)へつづく |