▼友人詩人と書いたが、もうずいぶんと長い間、中村明美と話したことがないのだった。それでもかってに友人でいたい詩人の一人として『ねこごはん』詩集を何度も読んだ。
▼詩集『ねこごはん』の「パート1」を読んでいくと、中村明美が人生の大きな決断をしたらしい事柄も描かれていて辛い思いにかられたが、詩作品の完成度から推察すれば、開き直ってすでに乗り越えたのかも知れない。
また中村明美が、自立していく子どもとの葛藤を描いた作品群にも惹かれた。それは現在の僕が、恵子美術館を通して出会った「魂の後天性遺伝子」で繋がった二人目の娘の思春期と自立を見守っている立場から、恣意的に深読みしたせいかもしれない。
▼『ねこごはん』の「パート2」は散文詩が収められている。僕は以前から中村明美の散文詩が好きで、小説家の才能を予感している者の一人だが、苛烈なブラジル移民体験は、いつか超現実的な小説作品として全体像を現すのかもしれないと思っている。
▼『ねこごはん』の「パート3」は、中村明美が、自らの血族の記憶を津軽の原風景に確認しているかのような詩作品で沈んでいる。
▼詩集『ねこごはん』は、重く沈んだトーンの詩集だけれど、何度も気になって読み直してしまう詩集であると思う。
山田八郎
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発行所・ジャンクション・ハーベスト
定価・1800円
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