新しい出会いに感謝
与儀 千寿子(県教育庁宮古教育事務所主任指導主事)
「琉球新報」一面連載コラム・1999年6月17日(木) 夕刊
ひとつのきっかけが、思いがけないことを生み、つくり出してくれる。今回で放免となるこの欄がそうだ。これまで、多くの方々から温かい激励をいただいた。
その中で、新しい世界と出会わせてくれた出来事について触れてみたい。
それは、平良市の「恵子美術館」主宰、垣花恵子氏からの思いがけないお手紙であった。機関誌の「すけっちぶっく」第2号も添えられていた。掲載されている子供たちの「絵の感想」を読んでほしいとのことだった。
「宮古・沖縄・本土と世代を結ぶ」というフレーズ、表紙の絵も印象的な一冊の本。それは、美術館を訪れた子供たちの「絵の感想」や女流詩人の作品集、エッセーや評論と実に充実した内容の一冊であった。
恥ずかしい話だが「恵子美術館」に足を踏み入れたこともなく、およそ宮古の文学や絵画などの芸術活動に全く無知な私は、この本の存在を知らなかった。
早速、「恵子美術館」に出かけた。初めて足を踏み入れた美術館は「異次元の空間」…。激しい感情の渦巻く世界に翻ろうされ、私は表現する言葉を持たなかった。そんな私に無垢な心の目で絵と対峙している子供たちがまぶしすぎた。教室では見せないもう一人の自分を子供は持っている。そのことを再確認した思いであった。
「恵子美術館」で子供たちは芸術と出会い、自分の言葉で表現することの喜びを知った。子供たちの表現の斬新さは、「恵子美術館」という空間によって触発され、恵子さんとの出会いでつむぎだされた。私にとっても新鮮な出会いであり、大事にしたいと思う。
「南風」執筆をきっかけに出会った多くのことに感謝で一杯である。
よぎ・ちずこ 1947年平良市生まれ。琉球大学国語国文卒。上山、仲西、真和志各中学校を経て、北、池間、西辺の各中学校教諭。95年佐良浜中学校教頭、96年から現職。
★肩書きは掲載当時のままにいたしました★

|